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輸液の歴史
注射療法の起源は17世紀にWilliam Harveyが「血液循環の原理」を発見したことが端緒とされ、1658年にSir Christopher Wrenがガチョウの羽軸とブタの膀胱(ぼうこう)を用いてイヌの静脈内に溶液を投与したことが始まりとされています。
電解質輸液の歴史は19世紀に、Lattaがコレラ治療に食塩と重曹を含む溶液を用いて成功を収めたことに端を発します。その後、小児下痢症治療を中心とする研究の中で生理食塩液、リンゲル液、乳酸リンゲル液(ハルトマン液)が開発されました。細胞外液補充液は、血漿(けっしょう)の電解質に組成が類似するように作られており、血漿浸透圧と等張という特徴があります。
輸液は当初、500mLの大型ガラスアンプルに入っており、現在の経腸栄養剤のようにイルリガートルに移し換えてゴム管の輸液セットで投与されていました。そのため、当時は異物混入等の問題も多くありました。その後、ゴム栓付きバイアル瓶と塩化ビニル製のディスポーザブル輸液セットの登場で、バイアル瓶と輸液セットによる輸液投与が普及しました。しかし、ガラスバイアル瓶は重く衝撃に弱かったため、プラスチック製剤が開発されると、透明度が高く丈夫なプラスチック容器は一気に普及しました。
近年では主にポリエチレンがバッグの素材に使われ、さまざまな輸液製品がソフトバッグで販売されています。ソフトバッグは使用後にかさばらず、廃棄しやすいという利点があります。
ガスバリア性フィルム(気体非透過性)の外袋が開発され、プラスチックボトルやソフトバッグだけでは長期の安定性を保つことができなかった製剤もソフトバッグ化されました。
静脈栄養輸液の分野では混合調製の手間を軽減し、調製時の汚染リスクの機会を減少させるキット製剤(ダブルバッグ製剤など)が発売されています。